1. HOME
  2. 解決実績
  3. 1.欠陥住宅被害
  4. 鉄骨造車庫(4号建物)の構造欠陥で建替請求した事件【0911 KY邸事件】

鉄骨造車庫(4号建物)の構造欠陥で建替請求した事件【0911 KY邸事件】

相談内容(事案の概要)




平成26年11月に鉄骨造平家建(面積45㎡)の車庫新築を370万円で注文したところ、①地盤面より18㎝低く床が施工されたため、雨水流入の危険性がある、②母屋に近づけすぎて施工されたため、車庫の軒が母屋の屋根に干渉して雪が溜まる、といった契約違反の工事になった。請負残代金170万円の支払を拒絶したら、施工業者から訴えられた事件。

経過

建築士に調査・鑑定を依頼した結果、上記契約違反以外にも、①鉄骨の柱と梁の溶接欠陥(施行令67条2項違反)、②地中梁の配筋不足(法20条違反)という構造安全性上の重大な欠陥が判明したため、(請負残代金を除き)解体・再築費用約550万円の支払を求める反訴を提起。

相手方は「本件建物のような、4号建築物と呼ばれる小規模建築物では、建築基準法で構造計算が義務付けられていないから、構造計算に基づく安全性の欠陥の主張は認められない」との反論を展開したため、この点が大きな争点となった。

大津地裁長浜支部平成30年1月12日判決は、当方の主張をほぼ全面的に認め、反訴請求を全額認容して、次の判決を言渡した。

「1 本訴被告は、本訴原告から581万4000円の支払を受けるのと引替に、本訴原告に対し、170万円を支払え。
2 反訴被告は、反訴原告に対し、547万4000円及びこれに対する平成27年9月4日から支払済まで年6分の割合による金員を支払え。」

この判決に対し、相手方が控訴。

大阪高裁では、建築士調停委員が「部分補修は可能」とのいい加減な意見を示したため、当方が徹底して反論した結果、調停委員も何も言えなくなり、意見を事実上撤回した。

解決内容

裁判所の和解あっせんの結果、相手方が「支払能力がない」とのことゆえ、請求額を全額認めたうえで一部を分割支払するとともに、相手方の自宅に抵当権を設定する、という和解が成立した。

意義

大津地裁長浜支部判決は、次のように判示し、4号建築物についても構造計算の結果を瑕疵判断の材料にできることを正面から認めた初めての判決である。

「…4号建築物については、当事者間に特段の約定等がない限り、構造計算によって確かめられる安全性を有することが請負契約等の内容とはならず、構造計算により安全性に問題があるとしても、その点が直ちに瑕疵に当たるとは言えないとの見解によるものとしても、同法20条は、4号建築物についても、自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとすることを求めているから、構造計算によりエラーが出た場合には、その結果をも一つの判断基準として、同条の求める安全性の有無を検討すべきである。」

掲載文献など

  • 『消費者のための欠陥住宅判例[第8集]』P432~
  • 『消費者法ニュース№119』P274
  • 『ふぉあすまいる№40』P21

詳細はこちら(大津地裁長浜支判)>

詳細はこちら(大阪高裁)>

関連事例