揺れる注文住宅で解除請求して建替費用賠償を得た事件【0130 KK邸事件】
相談内容(事案の概要)
土地を3000万円で購入する売買契約と、木造3階建住宅を1890万円で新築する請負契約を締結したところ(土地売主と請負人は別会社)、3階にいると建物の揺れを感じたり、建具の開閉不良等の不具合が生じた。
経過
調べてみると、建築確認申請では、隣地と一体の敷地上に鉄筋コンクリート造2階建共同住宅を新築する虚偽の申請がなされていた違法住宅だった。
そこで、建築士に調査鑑定を依頼した結果、①耐力壁の不足、②接合金物(筋かいプレート、ホールダウン金物)の欠如、③基礎の鉄筋量不足等といった構造欠陥のほか、建築基準法の防火規定違反も判明した。
そこで、土地売主と施工業者を相手取り、瑕疵担保責任に基づく契約解除(代金返還)と損害賠償の合計5900万円の支払を求めて提訴。
京都地裁平成16年3月31日判決は、一定の欠陥を認めた上、請負契約の解除の可能性は認めたものの、基礎の欠陥等を否定して「建て替えるほかないとまでは認められない」として約1130万円の賠償を認めるにとどまった。
そこで、大阪高裁に控訴。
解決内容
大阪高裁は、解体・再築が必要な欠陥との判断を示し、相手方を説得した結果、施工業者と土地売主が合計2150万円を支払うという内容で和解成立。
意義
- 土地売主も含めて請負代金を上回る損害賠償を認めさせた。
- 京都地裁判決は、民法635条但書(瑕疵担保責任による解除を制限した規定)を限定的に解釈し、建物完成後に瑕疵担保責任に基づく請負契約解除を正面から認めた初の判決である。
掲載文献など
- 『消費者のための欠陥住宅判例[第4集]』P140~
- 『ふぉあすまいる№12』P18~