崖崩落防止工事の費用を誰が負担すべきか争われた事案【1026 G邸事件】
相談内容(事案の概要)
崖地及び崖下の宅地の所有者(被告)が、崖上の墓地の管理者(原告)から、崖地崩落防止工事に要した費用約1000万円について、事務管理に基づく費用償還請求により訴えられた事案。
一審で全面敗訴した被告から依頼を受けて、控訴審から受任。
経過
構造専門の建築士と地盤の専門家に依頼して、以下について重点的に主張・立証。
①崖地崩落の危険性は原告側の無計画な墓地の作出・拡大にあること(斜面上の山頂部を切土し、適正な擁壁も設けずに盛土をして墓地を作出したうえ、墓石を増やして荷重を増大)。
②原告が行った工事が不適正であること(ボーリング調査も、構造計算もしていない)。
専門家調停委員が選任されたうえ、地盤についての鑑定が実施。
解決内容
裁判所は、双方土地の来歴が古く不明であり、崩壊のおそれが傾斜地と隣接地のいずれに起因するか不明として、工事費用を双方折半するように和解をあっせん。
あっせんに沿って、費用を折半する和解が成立(大阪高裁令和3年8月31日調停成立)。
掲載文献等
- 『ふぉあすまいる№44』P64~