1. HOME
  2. お知らせ
  3. 【4号建物問題 Part 2】特例ができた経緯〜改正の動き

【4号建物問題 Part 2】特例ができた経緯〜改正の動き

昨日に続き、「4号建物」の問題について触れたいと思います。

1 4号特例ができた経緯

4号建物に対する法規制上の特別扱いは、昔ながらの棟梁制度、「経験と勘」を備えた大工職人のためにあるように勘違いされ、「大工の聖域」などと呼ぶ工務店もいますが、違います。

確かに、4号建物にだけ、構造計算のいらない「仕様規定ルート」を設けた制度(実体的な特例)は、1950年の建築基準法制定当時からありました。

しかし、その場合であっても、建築確認手続においては、構造図面の添付が求められ、構造審査・検査が行われていたのです。

建築確認・検査手続で構造審査・検査が省略されるようになったのは、1983年の建築基準法改正の時からです。政府の持ち家政策による新築戸建住宅の急増を背景にして(或いは、急増させた一因と言えるかもしれませんが)、このような「構造審査省略制度」(図書省略制度。いわゆる「4号特例」)の仕組みが作り出されました。

2 過去の4号特例改正の動き

このような4号建物に対する特例が欠陥住宅の温床になっていたことは、建築業界では以前から知られており、阪神淡路大震災以後、そのことを指摘する声もよく聞かれました。

2005年11月に耐震偽装マンション問題が発覚した際、実は、4号建物でも大量の耐震不足の欠陥住宅が問題になっていました。

そこで、2006年以降の建築基準法改正の議論の中で、国交省は、建築確認制度を見直し、マンション等の大規模建物の構造チェック等を厳しくする仕組みを作るとともに、続いて、4号特例についても廃止することを提案していました。

ところが、この改正により建設業界は混乱し、「建基法不況」「官製不況」等と批判を浴びる状態に陥りました。その際、工務店等から4号特例廃止反対の大合唱が起こり、4号特例廃止案は実質的に頓挫するに至りました。

下の文書が、その際に国交省の出した通知文書ですが、「四号特例の見直しは、設計者等が十分に習熟した後に行う」として先送りにされています。

しかし、こんなおかしな理屈があるでしょうか。設計者が習熟しているからこそ特例を与える余地があるのであって、習熟していない設計者に特例を与え続ける理由は一切ありません。特例の維持は、そもそも大きな矛盾があるのです。

3 その後の動き

この時以降、国交省の建築関係法令の改正は、基本的に規制を緩和する方向しかなく、規制を厳しくする方向の改正が行われたのは、昨年3月の改正建築士法(施行規則)施行による4号建物の図書保存義務化だけと言っても過言でないくらいでした。

新着記事

お知らせ一覧