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リフォーム工事請負で建替費用の賠償請求が認められた事件【0076 KY邸事件】

相談内容(事案の概要)

施主は、木造2階建の自宅について、浴室改装と2階に居室増築等のリフォーム工事を代金約1200万円で工務店に発注した。その際には、屋根・躯体軸組は残す予定であった。

ところが、工事途中に屋根・柱等の腐朽が激しいことが判明し、代金1500万円で、玄関と台所の一部を除き全面的に新しくすることに契約変更された。

さらに、旧建物を解体した結果、基礎には配筋が無く大きな亀裂が生じて中折れが生じていることが判明したため、代金1560万円で基礎を含む工事を行うことに契約変更された。

その後、復旧予定だった物干し台を工務店が無断廃棄したことに端を発して紛糾し、不具合も発覚する中、残代金740万円の支払を拒絶していたところ、工務店が提訴。

経過と解決内容

建築士が調査した結果、①基礎底盤の幅の不足、②基礎と土台の緊結欠如、③壁量不足といった構造欠陥が判明。

そこで、工務店に対し、解体・再築費用2100万円その他の損害について賠償を請求して提訴。

当方が主張した構造欠陥をすべて認め、解体・再築費用相当額である約1930万円の損害賠償請求が認められた(京都地裁平成14年9月24日判決)。

意義

リフォーム工事の請負契約において、構造安全性の欠如を認定し、解体・再築費用を認めた点で意義がある。

すなわち、判決では、以下のとおり判断が示された。
「建物の建築を注文する者は、何よりもまず安全な建物の建築を求めるのが通常であって、そして、注文者がそのような意思を有していることは、請負人においても当然に分かりうることであるから、建物の建築請負工事においては、一般に安全な建物を建築することが契約内容となっているというべきである。そして、このことは、建物増改築工事の場合であっても、変わりはないが、増改築の場合には、従来の建物構造等からくる制約があり、新築建物と同様の安全性の確保までもが契約内容となっているとまでは認められない場合があることは、一概には否定し得ない。
しかし、本件工事については、…結果的に増改築に伴う制約はなく、むしろ…経過からすると、一番最初の契約が、順次変更されていったのは、旧建物の骨組み、屋根、基礎を残した場合には、建物の安全性が確保できないと原告及び被告の双方が判断したためであったと推認し得ることからすると、遅くとも…(注・基礎を含む工事の)…合意がされた時点では、当初の契約全体として、安全な建物建築することが契約内容となっていたものと認めるのが相当である。そして、建築基準法の…規定が…最低限の基準を定めたものである(同法1条)ことを考慮すると、建築基準法…及び…施行令のいわゆる単体規定の規定する基準を満たすものが、上記安全な建物を建築することの最低限の内容であると解すべきである。」

掲載文献等

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